親や親族が亡くなり不動産などを相続した場合、相続税が発生します。
相続税の計算は、「相続税評価額」を用いて計算しますが、その種類によって計算方法が異なるため注意が必要です。
そこで今回は、不動産相続時に知っておくべき相続税評価額の概要と、不動産の種類ごとの計算方法について解説します。
不動産を相続した方は是非この記事を参考にしてみてください。
LIFULL HOME’Sより認定
葛飾区・足立区で不動産査定問合せ数NO.1‼[2023年7月~2024年6月LIFULL HOME’S調べ]
不動産相続時の相続税評価額について
不動産を相続する際、避けて通れないのが「相続税評価額」です。この評価額は、相続税の計算の基礎となるため、正確に把握しておくことが重要です。
相続税評価額とは?
相続税評価額とは、相続税の計算の際に、相続財産である不動産の価値をどのように評価するかという基準のことです。相続税法に基づいて定められた評価方法で算出され、この評価額に相続税率を乗じて相続税額が計算されます。
なぜ相続税評価額が重要なのか?
相続税額の決定: 相続税額は、相続税評価額に相続税率を乗じて計算されます。そのため、相続税評価額が低ければ、支払う相続税額も少なくなります。
遺産分割: 相続人が複数いる場合、遺産分割の際に、各相続人の相続分を決定する基準となります。
相続税評価額は原則「財産の時価」
なぜ「時価」が原則なのでしょうか?
相続税は、相続によって財産を得た人に課される税金です。この際、公平な税負担を求めるために、財産の価値を正確に把握する必要があります。
公平性の確保: 時価で評価することで、相続財産の実際の価値を反映し、相続人間の公平性を保つことができます。
税収の安定化: 時価で評価することで、税収の安定化に繋がります。
時価とは?
時価とは、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に、通常成立すると認められる価額のことです。つまり、その財産が市場で売買された場合に、どれくらいの値段で取引されるかという、いわば「相場」のようなものです。
固定資産税評価額と相続税評価額の違い
なぜ違いが生じるのか?
固定資産税評価額と相続税評価額は、どちらも不動産の価値を評価するものです。しかし、その目的や評価基準が異なるため、評価額に差が生じます。
固定資産税評価額:
目的: 固定資産税の税額を算出するため。
特徴: 時価よりも低く評価され、毎年見直されます。
評価基準: 国が定めた評価基準に基づき、機械的に算出されます。
相続税評価額:
目的: 相続税の税額を算出するため。
特徴: 原則として時価で評価され、相続発生時点での評価額となります。
評価基準: 相続税法に基づき、路線価方式や倍率法など、様々な方法で評価されます。
相続税評価額の計算方法
相続税評価額の計算方法は、不動産の種類や状態によって異なりますが、一般的には以下の方法が用いられます。
相続が発生した際、不動産の相続税評価額の計算方法は、その不動産がどのように利用されていたかによって異なります。
1. 故人が使っていた場合
故人が実際に居住していた住宅や、事務所として利用していた不動産の場合、**「小規模宅地等の特例」**が適用できる可能性があります。この特例は、住宅や事務所として利用されていた一定の面積の宅地について、評価額を大幅に減額できるという制度です。
適用要件
被相続人がその不動産を自己の居住の用に供していたこと
相続人がその不動産を取得すること
その他の要件
減額の割合
減額の割合は、宅地の面積や相続人の状況によって異なります。
一般的には、一定面積までは80%の減額が認められます。
メリット
相続税額を大幅に軽減できる。
住宅の取得にかかる費用を軽減できる。
2. 第三者に貸している賃貸物件の場合
賃貸物件の場合、**「借家権割合」**を考慮して評価額を計算します。
計算方法
固定資産税評価額 × (1 - 借家権割合 × 賃貸割合) = 相続税評価額
例:
固定資産税評価額:1,000万円
借家権割合:30%
賃貸割合:100%
この場合、相続税評価額は、1,000万円 × (1 - 30% × 100%) = 700万円となります。
借家権割合とは、不動産の価値に対する借家権の価値の割合です。賃貸割合とは、不動産が賃貸に利用されている割合です。
3. その他のケース
空き家: 空き家については、一般の宅地と同様の評価方法が適用されます。
事業用不動産: 事業用不動産については、その利用状況や収益力などを考慮して評価されます。
注意点
評価方法は複雑: 相続税評価額の計算は、不動産の種類や利用状況によって、様々なケースが考えられます。
専門家の相談: 正確な評価額を算出するためには、税理士などの専門家に相談することが重要です。
特例制度: 小規模宅地等の特例以外にも、様々な減額特例制度が存在します。
不動産の相続税評価額(土地)の計算方法
不動産の相続税評価額は、その種類や利用状況によって計算方法が異なります。ここでは、特に土地の相続税評価額の計算方法について詳しく解説します。
土地の相続税評価額の計算方法
土地の相続税評価額は、一般的に路線価方式を用いて計算されます。
路線価方式とは?
国税庁が毎年公表する路線価(道路に面した土地の1平方メートル当たりの評価額)に、土地の面積を乗じることで評価額を算出する方法です。
計算式
相続税評価額 = 路線価 × 土地面積
例:
路線価:1㎡あたり50万円
土地面積:100㎡
相続税評価額 = 50万円/㎡ × 100㎡ = 5,000万円
注意点
路線価は毎年変わる: 路線価は毎年7月頃に発表されるため、評価時点の路線価を用いる必要があります。
補正: 土地の形状、利用状況、立地条件などによって、路線価に補正をかけることがあります。
倍率方式: 路線価が定まっていない地域や、特殊な土地については、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて評価する倍率方式が適用される場合があります。
路線価の確認方法
路線価は、国税庁のホームページや税務署で公開されている路線価図で確認できます。
その他の考慮事項
借地権: 借地権がある場合は、借地権割合を考慮して評価額を減額することが可能です。
小規模宅地等の特例: 住宅用地など、一定の要件を満たす土地については、評価額を大幅に減額できる小規模宅地等の特例が適用される場合があります。
農地: 農地については、農地の評価に関する特例が適用される場合があります。
相続税評価額を低く抑える方法
相続税評価額を低く抑えることで、相続税の負担を軽減することができます。
路線価が低い土地を選ぶ: 土地を購入する際は、路線価が低い地域を選ぶことで、相続税評価額を低く抑えることができます。
建物の老朽化: 建物の老朽化が進んでいる場合は、評価額が下がる可能性があります。
減額特例制度の利用: 相続税の減額特例制度を利用することで、相続税額を軽減できる場合があります。
相続税評価額の注意点
専門家の相談: 相続税評価額の計算は、専門的な知識が必要となります。税理士など専門家に相談することをおすすめします。
時価との違い: 相続税評価額は、必ずしも不動産の実際の売却価格(時価)と一致するわけではありません。
定期的な見直し: 不動産の評価額は、時価変動や法改正の影響を受けるため、定期的に見直すことが重要です。
まとめ
相続税評価額は、不動産を相続する際に必ず把握しておきたい重要な要素です。相続税評価額を低く抑えることで、相続税の負担を軽減することができます。
相続税評価額について、より詳しく知りたい場合は、税理士などの専門家にご相談ください。