2026-08-14

「親が認知症になった。実家を売って老人ホームの費用に充てたい」
「認知症と診断されたら、もう自宅は売れない?」
「子どもが代わりに契約すれば売却できる?」
「成年後見人をつければ実家を売れる?」
高齢の親御様を持つご家族から、このようなご相談を受けることがあります。
親が認知症になったからといって、直ちに不動産を売却できなくなるわけではありません。
重要なのは「認知症という診断名」だけではなく、不動産売買という法律行為について、本人に必要な判断能力があるかどうかです。
一方、本人の判断能力が不十分で、自分で売買契約を進めることが難しい場合には、成年後見制度などを検討するケースがあります。
さらに成年後見制度を利用している場合、本人の「居住用不動産」を成年後見人等が処分するには、家庭裁判所の許可が必要になるケースがあります。
つまり、
認知症 → 即売却不可
でも、
家族だから自由に代理売却できる
でもありません。
最初に本人の状況を確認し、適切な方法を選ぶことが重要です。
不動産の所有者が親御様である以上、基本的には所有者本人が売却の当事者です。
売買では、
・どの不動産を売るのか
・いくらで売るのか
・売却する理由
・契約内容
・売却後どうするのか
などを理解して判断する必要があります。
そのため、不動産売却では本人の意思確認が非常に重要です。
「認知症の診断を受けている」
というだけで、すべての契約ができないと一律に判断するものではありません。
逆に、
「普通に会話できているから大丈夫」
だけで判断するのも危険です。
不動産は高額な財産です。
本人の状態によっては、医師、司法書士、弁護士等の専門家と連携しながら慎重に進める必要があります。
ここは非常に重要です。
例えば、
「父が認知症なので長男の私が代わりに売ります」
と家族だけで決めても、所有者が父親なら、子どもが当然に売主になれるわけではありません。
また、
・実印を持っている
・権利証を預かっている
・通帳を管理している
・親の介護をしている
という事情だけでも同様です。
不動産の名義人と売却する権限を確認する必要があります。
成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方について、
財産管理や契約などを法律的に支援する制度です。
大きく、
法定後見制度
と
任意後見制度
があります。
法定後見には本人の判断能力の程度などに応じ、
・後見
・保佐
・補助
があります。
「認知症なら必ず成年後見」というわけではありません。
本人の状態、必要な法律行為、すでに行われている対策などを確認して判断します。
ここも大きな誤解があります。
成年後見人等が本人に代わって不動産を売却できるケースでも、
何でも自由に処分できるわけではありません。
特に重要なのが本人の居住用不動産です。
本人が現在住んでいる家だけではありません。
老人ホームや病院へ移ったため現在住んでいなくても、
以前住んでいた住宅や将来戻る可能性がある住宅などが「居住用不動産」に該当することがあります。
成年後見人等がこのような居住用不動産を処分する場合、家庭裁判所の許可が必要となるケースがあります。
家庭裁判所への居住用不動産処分許可の申立てでは、単に、
「家族が売りたいから」
という理由だけで考えるわけではありません。
重要なのは本人の利益です。
例えば、
・老人ホーム費用を確保する必要がある
・自宅へ戻る可能性
・売却価格の妥当性
・売却後の本人の生活
・不動産を保有し続ける必要性
・管理費や固定資産税等の負担
などを整理する必要があります。
売却の場合、家庭裁判所の案内では不動産業者作成の査定書、評価証明書、契約書案などが必要資料として挙げられています。
つまり不動産会社には、単に買主を探すだけでなく、価格の根拠を示せる査定も求められます。
認知症に関する不動産相談で特に多いのがこのケースです。
親御様が自宅で生活することが難しくなり、老人ホームへ入居。
実家が空き家になる。
そして、
「施設費用に充てるため実家を売りたい」
という流れです。
この場合、まず確認したいのは次の項目です。
□ 不動産の所有者は誰か
□ 本人の現在の状態
□ 本人に売却意思があるか
□ 成年後見制度を利用しているか
□ 任意後見契約等があるか
□ 実家へ戻る可能性があるか
□ 老人ホーム費用はいくら必要か
□ 実家を売る必要性はどの程度あるか
□ 売却以外の方法はあるか
認知症になってから考えるより、本人に十分な判断能力がある段階で将来について話し合っておくことが重要です。
代表的な選択肢として、
・実家を売却して住み替える
・任意後見契約を検討する
・家族信託を検討する
・遺言書を作成する
・財産一覧を整理する
・老人ホーム入居後の資金計画を作る
などがあります。
2026年3月には法務省も、認知症などに備えた財産管理における信託制度の活用について一般向けパンフレットを公表しています。
ただし、家族信託は「契約しておけば何でもできる制度」ではありません。
信託する財産、契約内容、不動産売却権限、税務などを事前に設計する必要があります。
| 項目 | 成年後見 | 家族信託 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 判断能力が不十分な本人の保護・支援 | 財産管理・承継の設計 |
| 開始時期 | 判断能力低下後も利用可能 | 原則、契約できる判断能力がある段階で準備 |
| 財産管理 | 後見人等 | 受託者 |
| 家庭裁判所 | 法定後見では関与 | 通常の民事信託では原則として直接管理しない |
| 不動産売却 | 権限・許可等の確認が必要 | 信託契約の内容等による |
| 自由度 | 本人保護が中心 | 契約設計による |
どちらが優れているという話ではありません。
本人が現在どの段階にいるのか、何を実現したいのかによって適した制度が変わります。
一概には言えません。
ただし、
「将来的に老人ホームへ入る可能性が高い」
「子どもは誰も実家を引き継がない」
「家の維持管理が負担になっている」
という場合は、本人が元気な段階から売却・住み替えを検討する価値があります。
例えば、
自宅売却 → 老人ホーム入居
だけではなく、
自宅売却 → 小さなマンションへ住み替え → 将来施設へ
という方法もあります。
重要なのは、本人の希望を最優先にしながら将来の選択肢を整理することです。
不動産のみらいでは、売買経験1,000件以上、売却相談の約70%が相続に関連しています。
その中で、高齢の親御様に関する相談も少なくありません。
例えば、
「母が施設へ入るので自宅を売りたい」
「父の認知機能が低下してきたが、今のうちに何をしておけばいい?」
「老人ホーム費用を自宅売却で準備したい」
「実家を売りたいが本人確認が心配」
といった相談です。
こうした案件で重要なのは、売却を急ぐ前に法律関係を整理することです。
所有者本人の意思や代理権を確認せず、売却直前で手続きが止まる。
施設へ転居しても、以前の自宅が成年後見制度上の居住用不動産に該当する場合があります。
家庭裁判所への説明が必要になるケースでは、価格の根拠も重要です。
任意後見や家族信託など、判断能力が十分なうちだからこそ検討できる方法があります。
認知症が関係する不動産売却では、
物件価格の査定より前に権利・本人の状況を整理する
くらいの意識が重要です。
一般的な不動産売却なら、
査定
↓
媒介契約
↓
販売
と進みます。
しかし認知症が関係する場合は、
所有者確認
↓
本人の状況確認
↓
代理権・後見制度等の確認
↓
必要に応じ専門家へ相談
↓
査定・売却方法検討
↓
必要な手続き
↓
販売・契約
という流れになることがあります。
ここを飛ばすと、買主が決まってから契約できないという事態にもなりかねません。
不動産のみらいでは、足立区・葛飾区を中心に中古不動産売却をお手伝いしています。
また、グループ・連携体制を活用し、
・不動産売却
・相続相談
・空き家
・老人ホーム紹介
・身元保証
・死後事務
など、高齢者の住まいと不動産に関する相談を幅広く整理できます。
例えば、
親の施設を探したい
↓
実家が空き家になる
↓
実家の査定をする
↓
本人の状況を確認する
↓
必要な専門家と連携する
↓
売却方法を決める
という相談も可能です。
足立区、葛飾区、綾瀬、北千住、西新井、竹ノ塚、亀有、金町、
新小岩などで、ご家族の認知症と不動産について悩んでいる方は、
売却すると決める前の段階からご相談ください。
診断名だけで一律には決まりません。本人が売買契約について必要な判断をできる状態かなどを個別に確認する必要があります。
実印を持っているだけで当然に売却権限が生じるわけではありません。
不動産の種類や本人の状況、権限などによります。特に居住用不動産の処分では家庭裁判所の許可が必要となる場合があります。
該当する場合があります。本人が現在施設に入所していても、入所前に住んでいた住宅等が対象となるケースがあります。
具体的な進め方は後見人や専門家、管轄家庭裁判所等と確認する必要があります。
売却許可申立てでは査定書や売買契約書案等が必要になる場合があります。
信託契約を有効に締結するには本人の契約能力が問題となるため、「認知症になってから必ずできる対策」と考えないことが重要です。早めに専門家へ相談してください。
認知症と不動産売却で覚えておきたいポイントは5つです。
① 認知症=即売却不可ではない
② 診断名だけでなく本人の判断能力が重要
③ 子どもだから自由に親の家を売れるわけではない
④ 成年後見人等による居住用不動産の処分では家庭裁判所の許可が必要になる場合がある
⑤ 元気なうちなら任意後見・家族信託・売却・住み替えなど、検討できる選択肢が広い
特に、
「最近、親の物忘れが増えてきた」
「施設入居を検討している」
「将来、実家を売ることになりそう」
という段階なら、売却を決める必要はありません。
今後どんな選択肢があるのかを確認しておくこと自体が対策になります。
不動産のみらいでは、足立区・葛飾区を中心に、認知症、老人ホーム入居、相続、空き家などが関係する実家売却についてご相談いただけます。
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