2026-07-10

親が亡くなり、実家や土地、マンションなどの不動産を相続したものの、
「何から始めればよいのかわからない」
「相続した不動産は、すぐ売却できるのか」
「相続登記や名義変更が終わっていない」
「兄弟や親族との共有名義になっている」
「空き家のまま放置していて問題がないか心配」
このようなお悩みを抱えている方は少なくありません。
相続不動産の売却では、通常の不動産売却とは異なり、相続人の確認、遺産分割協議、相続登記、税金の確認などが必要です。
手続きの順番を間違えたり、相続人同士の話し合いがまとまらなかったりすると、売却したくても売却できないことがあります。
この記事では、相続した戸建て・マンション・土地・空き家・借地権などを売却する際の流れ、相続不動産名義変更義務化、税金、費用、トラブル、売却方法について、初めての方にもわかりやすく解説します。
相続した不動産を売却するときは、次の順番で整理することが重要です。
特に重要なのが、相続人の確定と相続登記です。
亡くなった方の名義のままでは、原則として不動産を売却し、買主へ所有権を移転することができません。
そのため、まずは「誰が不動産を相続するのか」を決め、相続登記を済ませる必要があります。
相続不動産とは、亡くなった方から相続や遺贈によって引き継いだ土地や建物のことです。
代表的なものには、次のような不動産があります。
現金や預貯金であれば相続人同士で比較的分けやすい一方、不動産は物理的に簡単に分割できません。
そのため、
「長男が不動産を取得して、他の相続人へ代償金を支払う」
「相続人全員で共有する」
「不動産を売却して現金で分ける」
といった方法を検討することになります。
なかでも、不動産を売却して代金を相続人間で分配する方法を、一般に換価分割と呼びます。
相続した不動産は、相続手続きを進めたうえで売却できます。
ただし、亡くなった方の名義のまま不動産会社と売却活動を始めても、最終的な所有権移転登記ができません。
売買契約を安全に進めるためには、原則として、売主となる相続人への相続登記を済ませる必要があります。
また、相続人が複数いる場合には、誰が不動産を取得するのか、あるいは全員の共有にするのかを決めなければなりません。
売却を急いでいる場合でも、次の確認は省略しないことが大切です。
最初に、被相続人が遺言書を残していないか確認します。
遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容に従って相続手続きを進めます。
自筆証書遺言が自宅などで見つかった場合は、家庭裁判所で検認が必要となることがあります。勝手に開封せず、司法書士や弁護士などへ確認することが大切です。
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合や、公正証書遺言の場合は、通常の自筆証書遺言とは取扱いが異なります。
遺言書がない場合は、被相続人の出生から死亡までの戸籍などを収集し、法定相続人を確定します。
一般的には、配偶者は常に相続人となり、子、直系尊属、兄弟姉妹の順に相続人となる可能性があります。
被相続人の子が先に亡くなっている場合は、孫などが代襲相続人になることもあります。
長期間会っていない親族や、家族が把握していなかった相続人が判明するケースもあるため、「家族だけで判断する」のではなく、戸籍で正式に確認する必要があります。
不動産だけでなく、預貯金、株式、生命保険、借入金、未払い税金などを確認します。
不動産については、固定資産税の納税通知書、登記事項証明書、名寄帳などを使って確認します。
被相続人が複数の自治体に不動産を所有していた場合は、すべての不動産を把握できていない可能性があります。
また、相続財産よりも借金の方が多い場合には、相続放棄や限定承認を検討することもあります。相続放棄には原則として期限があるため、借入れが疑われる場合は早めの確認が必要です。
遺言書がない場合や、遺言書だけでは分け方が決まらない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。
遺産分割協議では、相続不動産について、主に次のいずれかを決めます。
遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。
一部の相続人だけで決めた内容では、相続登記や不動産売却を進められないことがあります。
売却を予定している場合は、「誰の名義に相続登記をするか」「売却費用を誰が負担するか」「売却代金をどの割合で分けるか」まで整理しておくことが重要です。
遺産分割の内容が決まったら、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更します。
この手続きを相続登記といいます。
相続登記が完了することで、不動産の所有者が登記上も相続人へ変更され、売却に向けた手続きを進めやすくなります。
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。
相続や遺言によって不動産を取得した相続人は、原則として、所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
遺産分割が後から成立した場合も、遺産分割によって不動産を取得した日から3年以内に、その内容に沿った登記を申請する必要があります。
正当な理由なく申請義務に違反した場合、10万円以下の過料の対象とな
る可能性があります。義務化前に発生した相続も対象であり、一定の猶予期間が設けられています。
つまり、昔に相続した実家や土地についても、
「相続が何十年も前だから関係ない」
「売却する予定がないから名義変更しなくてよい」
とは限りません。
相続不動産名義変更義務化への対応として、未登記の不動産がある場合は、早めに法務局や司法書士へ相談することが大切です。
遺産分割がまとまらず、期限内に通常の相続登記が難しい場合には、相続人申告登記という制度を利用できる可能性もあります。
ただし、相続人申告登記を行っただけで、不動産を自由に売却できるようになるわけではありません。売却するには、原則として遺産分割などを整え、所有者を確定させる必要があります。
相続した不動産の売却方法は、大きく分けて「仲介」と「買取」があります。
仲介は、不動産会社が売主と買主の間に入り、一般の購入希望者を探す方法です。
市場に広く物件情報を公開して販売するため、買取より高く売れる可能性があります。
一方で、買主が見つかるまで時間がかかることや、内覧対応、残置物処分、建物状況の確認などが必要になることがあります。
仲介が向いているのは、次のようなケースです。
買取は、不動産会社が買主となって直接不動産を購入する方法です。
一般の購入希望者を探す必要がないため、条件が整えば比較的早く現金化できます。
室内に家財道具が残っている物件、雨漏りや老朽化がある物件、再建築不可物件なども相談しやすいことがあります。
ただし、買取価格は、一般的に仲介による売却価格より低くなる傾向があります。
買取が向いているのは、次のようなケースです。
仲介と買取のどちらが適しているかは、価格だけでなく、売却期限、建物の状態、相続人の事情まで含めて判断することが重要です。
相続した実家に誰も住まない場合、その家は空き家になります。
空き家を放置すると、建物の劣化が急速に進みます。
特に、換気や通水をしない状態が続くと、カビ、腐食、害虫、排水管の不具合などが発生しやすくなります。
さらに、次のような問題が生じる可能性があります。
国土交通省も、空き家を放置せず、適切に管理することや、対応が難しい場合は不動産・相続などの専門家へ相談することを案内しています。
「いつか使うかもしれない」と考えているうちに数年が経過し、修繕費や解体費が大きくなるケースもあります。
住む予定や貸す予定がない場合は、早い段階で売却を含めた方針を決めることが、空き家問題を防ぐうえで重要です。
古い実家を相続した場合、「建物を解体して更地にした方が売りやすいのではないか」と考える方もいます。
しかし、査定前に解体することはおすすめできません。
建物が古くても、次のような売却方法が考えられるからです。
先に解体すると、解体費用を負担したにもかかわらず、想定した価格で売れない可能性があります。
また、建物を取り壊すことで、土地の固定資産税に関する住宅用地の特例が適用されなくなる可能性もあります。
再建築不可、狭小地、借地権、接道条件に問題がある土地などは、建物を解体すると利用価値が変わることもあります。
そのため、解体を決める前に、不動産会社へ現況のまま査定を依頼することが大切です。
戸建てでは、建物の状態だけでなく、土地の形状、接道、境界、越境、再建築の可否などが価格に影響します。
古い建物の場合は、雨漏り、シロアリ、傾き、給排水管などの不具合についても確認が必要です。
現状のまま売却できる場合もあるため、高額なリフォームを行う前に査定を受けましょう。
マンションでは、専有部分だけでなく、管理状況、修繕積立金、管理費、大規模修繕計画などが重要です。
管理費や修繕積立金は、相続後も所有者が負担します。
長期間空室にしても支払いは続くため、利用予定がなければ早めに売却を検討することが大切です。
土地では、境界、測量、接道、用途地域、建築制限、地中埋設物などを確認します。
隣地との境界が不明な場合は、売却前に測量が必要になることがあります。
また、古い建物を解体した土地では、基礎、井戸、浄化槽、瓦礫などが地中に残っていることもあります。
アパートや賃貸マンションを相続した場合は、賃貸借契約、家賃の入金状況、敷金、修繕履歴、管理会社との契約などを引き継ぐ必要があります。
入居者がいる物件は、自己判断で立退きを求めることはできません。
売却する場合は、入居者付きのオーナーチェンジ物件として売却する方法があります。
借地権とは、他人が所有する土地を借りて、その土地の上に建物を所有する権利です。
借地権付き建物を相続した場合、土地の所有権を相続したわけではありません。
借地権の売却では、地主の承諾、譲渡承諾料、契約条件、更新料、建替え条件などの確認が必要になることがあります。
地主との関係や借地契約の内容によって売却方法が大きく変わるため、借地権売却に詳しい不動産会社へ相談することが重要です。
相続人が複数いる不動産を共有名義にすると、共有者全員が持分を持つことになります。
共有名義不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。
共有者のうち1人でも売却に反対すると、不動産全体の売却を進められないことがあります。
また、将来、共有者の1人が亡くなると、その持分がさらに次の相続人へ引き継がれ、共有者が増えていく可能性があります。
共有者が増えるほど、売却、管理、解体、建替えなどの意思決定が難しくなります。
安易に法定相続分どおりの共有名義にするのではなく、将来の利用方法や売却方針まで考えて遺産分割を行うことが大切です。
すでに共有名義となっている場合は、次の方法を検討します。
共有持分だけの売却は、不動産全体の売却より購入者が限られ、価格が低くなる可能性があります。
まずは共有者全員で話し合い、不動産全体を売却できないか検討することが基本です。
相続人の中に認知症などで判断能力が十分でない方がいる場合、その方を除外して遺産分割協議を行うことはできません。
判断能力がない状態で署名・押印された遺産分割協議書は、無効となる可能性があります。
状況によっては、成年後見制度などの利用を検討する必要があります。
ただし、成年後見人は本人の利益を守る立場であり、家族の都合だけで不動産の分け方や売却条件を決めることはできません。
家庭裁判所の手続きや許可が必要になることもあるため、認知症の相続人がいる場合は、売却を始める前に司法書士や弁護士へ相談することが大切です。
相続不動産を売却するときは、次のような費用がかかる可能性があります。
すべての物件に同じ費用がかかるわけではありません。
売却前に概算の手取り額を計算し、相続人同士で共有しておくことが重要です。
相続不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税や住民税が課税される可能性があります。
基本的な譲渡所得は、次の考え方で計算します。
売却価格-取得費-譲渡費用-適用できる特別控除
取得費には、被相続人が不動産を購入したときの代金や購入時の諸費用などが含まれます。
相続したときの固定資産税評価額や相続税評価額を、そのまま取得費として使うわけではありません。
相続や贈与で取得した土地・建物の取得費は、原則として、被相続人や贈与者が取得した際の購入代金などを引き継いで計算します。取得費がわからない場合などは、売却金額の5%相当額を概算取得費として計算できることがあります。
取得費が少なくなると、課税対象となる譲渡所得が大きくなる可能性があります。
売買契約書、領収書、建築請負契約書、購入時のパンフレット、通帳記録などが残っていないか、売却前に探しておきましょう。
相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度があります。
これは「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除」、いわゆる相続空き家の3,000万円特別控除です。
対象となるのは、被相続人が居住していた一定の家屋やその敷地を、定められた期間内に売却した場合などです。
国税庁によると、一定の要件を満たす売却について、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
ただし、2024年1月1日以後の譲渡で、対象不動産を取得した相続人が3人以上いる場合は、
1人当たりの控除上限が2,000万円となる場合があります。
また、原則として、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却など、期限に関する要件があります。
対象となる家屋の建築時期、利用状況、耐震性、売却価格などにも条件があります。
「相続した空き家なら必ず使える制度」ではありません。
売却時期や解体時期によって適用可否が変わる可能性があるため、売買契約や解体工事を進める前に、
税理士や自治体へ確認することが重要です。
相続税を支払った方が、相続した土地や建物を一定期間内に売却した場合、
支払った相続税のうち一定額を譲渡所得の取得費に加算できる可能性があります。
これを「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」といいます。
主な要件は、
ことです。
国税庁では、売却期限について、相続開始の日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までと案内しています。
相続空き家の3,000万円特別控除など、他の特例との関係にも注意が必要です。
どの特例を使うと有利になるかは、取得費、売却価格、相続税額などによって変わるため、税理士へ確認しましょう。
売却活動を始める前に、相続人同士で次の内容を共有しましょう。
売却開始後に意見が対立すると、購入希望者が現れても契約できないことがあります。
相続不動産では、価格査定だけでなく、登記、遺産分割、税金、
残置物、空き家管理、測量などを一緒に整理する必要があります。
一般的な不動産売却には詳しくても、相続や借地権、共有名義、
再建築不可物件に慣れていない不動産会社もあります。
査定価格の高さだけで選ぶのではなく、
を確認しましょう。
売却前に費用をかけてリフォームしても、費用分だけ高く売れるとは限りません。
また、建物を解体してしまうと、中古戸建てやリフォーム物件として売る選択肢がなくなります。
まずは現況のまま査定を受け、最も手取り額が残りやすい売却方法を比較しましょう。
購入時の売買契約書などが見つかるかどうかで、売却後の税負担が変わる可能性があります。
実家の書類だけでなく、古い通帳、権利証の袋、建築会社の資料、住宅ローン関係書類なども確認しましょう。
買主が決まりそうになってから相続登記を始めると、戸籍収集や遺産分割協議に時間がかかり、
契約に間に合わないことがあります。
相続人全員の意思確認ができていない状態で査定や売却を進めると、
後から反対され、売却が停止する可能性があります。
相場より高い査定価格を提示されても、その価格で売れるとは限りません。
高すぎる価格で売り出すと、長期間売れ残り、最終的に何度も値下げすることがあります。
建物の劣化、固定資産税、管理費、近隣トラブルなどの負担が増え、売却条件が悪くなる可能性があります。
特例の期限を過ぎたり、必要書類を準備できなかったりすると、
本来使えた可能性がある控除を受けられないことがあります。
不動産のみらいでは、足立区・葛飾区を中心に、相続した戸建て、
マンション、土地、空き家、借地権などの売却相談を承っています。
相続不動産のご相談は、通常の不動産売却と比べて、背景やご事情が一件ごとに大きく異なります。
こうしたご相談について、不動産の状況だけでなく、相続人のご意向や売却期限まで確認したうえで、適した売却方法をご提案します。
不動産のみらいは、1,000件を超える不動産売買の経験をもとに、
中古不動産売却専門店として、売却価格だけでなく、引渡し後のトラブル防止まで考えた販売活動を行っています。
相続登記、遺産分割、税金など、資格が必要な業務については、内容に応じて司法書士、税理士、弁護士などの専門家と連携します。
まだ売却するか決まっていない段階でも、査定やご相談は可能です。
査定は可能です。
ただし、実際に不動産を売却し、買主へ所有権を移転するためには、原則として相続登記を済ませる必要があります。
荷物が残った状態でも査定できます。
売却前にすべて処分する方法のほか、買主や買取会社との条件によっては、残置物を残したまま売却できる場合もあります。
先に高額な処分費用を支払う前に相談しましょう。
必ずしも解体した方がよいとは限りません。
中古戸建て、古家付き土地、現況買取など複数の売却方法があります。再建築の可否や土地の条件も確認する必要があるため、解体前に査定を受けましょう。
共有者全員が売却に同意すれば、不動産全体を売却できます。
1人でも反対している場合は、全体の売却が難しくなるため、共有者間の話し合いが必要です。
売却できます。
郵送、電話、オンラインで手続きを進められる場合もあります。現地確認、残置物、境界、鍵の管理などを整理しながら進めます。
売却できる可能性があります。
ただし、地主の承諾や借地契約の内容を確認する必要があります。通常の所有権物件とは売却方法が異なるため、借地権に詳しい不動産会社へ相談しましょう。
売却によって譲渡所得が生じた場合は、所得税や住民税がかかる可能性があります。
一定の要件を満たす場合は、相続空き家の3,000万円特別控除や取得費加算の特例を利用できる可能性があります。
相談や査定は可能です。
ただし、売買契約や所有権移転まで進めるには、相続人を確定し、遺産分割や相続登記を行う必要があります。
共有不動産全体の売却には、原則として共有者全員の同意が必要です。
感情的な対立がある場合は、売却価格、分配方法、維持費などの資料を整理したうえで話し合うことが大切です。話し合いが困難な場合は、弁護士などへの相談を検討します。
売却と賃貸の両方について、手取り額、修繕費、管理負担、将来の空室リスクなどを比較する必要があります。
一時的な家賃収入だけでなく、長期的な維持費や相続人の負担まで考えて判断しましょう。
相続不動産売却では、不動産会社へ査定を依頼するだけでなく、相続人、遺産分割、相続登記、税金、空き家管理などを一緒に整理する必要があります。
特に重要なのは、次の3点です。
2024年4月から相続登記が義務化され、過去に発生した相続についても対応が必要となる可能性があります。
相続した実家や土地をそのままにせず、まずは現状を確認することが大切です。
相続不動産は、早く売ればよいというものでも、高い査定価格を提示した不動産会社へ任せればよいというものでもありません。
相続人全員が納得できること、税金や費用を含めた手取り額を把握すること、引渡し後のトラブルを防ぐことまで考えて進めましょう。
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売却するか決まっていない段階から、現在の不動産の状況と今後の選択肢を整理いたします。
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